コラム記事

人の体を構成する3要素「気・血・津液」のトリセツ
~「津液」前編~

「津液」の概念

津液(しんえき)は、人の体の中にある正常な体液(水液)の総称です。
気や血と一緒に生命活動を支えている基礎物質で、体が利用できる正常な体液を津液と呼んでいます。 むくみや腹水といったもののように、正常に代謝されることなく停滞している場合は津液とは呼ばず痰飲(たんいん)水湿(すいしつ)などと呼ばれます。

「津液=津+液」ちょこっと違うのよ、津と液

津液は津と液を合わせた呼び方で、性質や役割に違いがあって区別されています。
しかし理論上は区別して説明されますが、言葉の意味を考え過ぎたり、分けることにこだわり過ぎたりせず、“あいまいな感じ”を含んでいる表現だということにご注意ください。

津の特徴
・サラサラしていて流動性が高い
・体の表面に行き渡る
・血脈の中にも入る
・潤したり養分となったりする


液の特徴
・ドロドロしていて流動性が低い
・体の深い部分を満たす
・関節の動きをスムーズにする
・骨、臓腑、脳、髄などを潤す


津と液の特徴を比べた時に上のように違いを説明されますが、全く別のものというわけではなく“根っこは同じもの”です。
お互いに行き来しあって、「津は液になるし、液は津になる」とされているので、一括して「津液」とまとめて呼ばれることが多いです。
そして津と液の区別はとっても“あいまいな感じ”で、水とお湯のようにハッキリした区切りはありません。  

「○℃だからこれはお湯」とかってあまり考えて使う場面って少ないと思いますし、僕だけかもしれませんが「お風呂水を汲む」みたいにお湯なのに“水”って言ってます。
日常の会話の中だと「意味が伝わればOK」です。
学問として求めていることとは少しズレるかもしれませんが、「二つを比べたら違いはあるっちゃあるけど、まとめて考えりゃあええよ」それくらい大雑把な感覚が伝われば良いかな?と思います。
臨床では細かく分けて考えられる先生もいらっしゃるかもしれませんが、そういった先生のお話を伺った記憶はほとんどありません。

また、津と液の分布の違いは、川や池の水が“津”で、地下水(井水)が“液”といったイメージを持っています。。
川や池は大地の“表面”にあって、一時的にでも雨が降れば水量や水位は増すし降らなければ減ってコロコロ変化するため“流動性が高い”です。
地下水は大地の“深い”所にあって、雨がたくさん降ったからとて一気に増すわけではありませんし、逆にひでりが続いたとしてもなかなか枯れることはないけど、一度枯渇してしまうと回復するには時間がかかり“流動性が低い”といったようなイメージになります。

本を読んだり、色んな先生の講義を聴いたりしていると、ちょっと使い分けをされているような場面もあります。
発熱や発汗による軽度な消耗の状態「傷津」血圧が低下してショック状態や心不全になってしまうような状態「脱液」と表現されることもあります。
これは程度の重さを表現しているようで、脱液の方が重篤で治療による回復が難しいとされています。
頭の片隅に置いておくといつか役に立つかもしれません。

ページトップへ戻る