コラム記事

あなたの、あの人の不調はどれ?不調のパターン6つ

前回は、

気・血・津液が「体の内に十分あって、体の隅々までスムーズに巡っている状態」を正常な状態と考え、お互いに協力し合いバランスをとりながら、体をつくってくれている。
気・血・津液が「不足したり、滞ったり」すると不調が起こって、どれかひとつから不調が始まったとしても、激しくなれば他の気・血・津液にその影響していく。
不足している状態を「虚証(きょしょう)」、滞ったり過剰にある状態を「実証(じつしょう)」と呼んでいて、『「何が」不足したり、「何が」滞ったり過剰にあるか?』という主語を意識するのがとても大切です。
といった内容を書かせていただきました。

病気や体の不調を考える時、病気の性質と場所を把握する必要があります。
中医学では病気の情報を集めて、それを処理するための視点やモノサシに「弁証(べんしょう)」というものがあります。

弁証には「八綱弁証(はちこうべんしょう)」、「気血津液弁証」、「臓腑弁証」など種類があって、必要に応じて使い分けたり、複数を組み合わせたりしながら考えていきます。僕の感覚は、八綱弁証でザックリとした性質と場所を把握して、気血津液弁証で性質をさらに詳しく考えていきます。そこに臓腑弁証を組み合わせることで性質と場所の両方が具体的になってくるといった感じです。

前回のコラムから主に「気血津液弁証」について書いています。

【気・血・津液で考える、不調の6つのパターン】

虚証
気が不足している:気虚(ききょ)
→パワー不足
血が不足している:血虚(けっきょ)
→貧血っぽい感じ
津液、陰液が不足している:陰虚(いんきょ)
→カッサカサに乾燥している

実証
気が滞っている:気滞(きたい)
→ストレス、滞っている所で風船が膨らんでるような感じ
血が滞っている:血瘀(けつお)
→打ち身で内出血・たんこぶが出来てる状態
津液が滞って出来た汚ない体液:痰湿(たんしつ)
→むくみ・肥満



【気虚】
気虚は気の作用が低下している疲れやすい状態や機能が低下している状態です。
症状の特徴はパワー不足な感じをイメージしてもらうと良いかと思います。疲れを感じやすい、息切れ、気絶するように眠る、ちょっとした環境の変化で風邪をひいたり体調を崩しやすい、動いたりして活動すると悪化するというのが特徴です。

気の概念は中医学・漢方独特で、この概念を受け入れられない方も多いと思います。
目で見ることも出来ない、手で触ることも出来ない、味もしない、ニオイもしない、測定も出来ないけど、なんとなく「感じる」ことは出来ます。

気は時に物質的なイメージで使われたり、時に機能的なイメージで使われたり、時に世界や宇宙のイメージで使われたりするような言葉で、「このイメージを持てば、気は全て解決!」とはいきません。分かりそうで分からないモヤモヤした感情がわいてくると思いますが、そういうものです。正直、僕もまだモヤモヤしますww

「気が本当にあるかどうかは分かんないけど、『気はあります!』ってことにして考えていった方が色々と都合もいいし便利だよね!」みたいな感じに昔の人たちは考えて、気の概念を受け継いでいったのかなぁ〜?なんて個人的には思っています。

普段使っている言葉に「気分が上がる・下がる」、「気が散る」、「気が付く」、「お気に入り」、「気があう者どうし」、「気配り上手」、「色気のある人」、「気が置けない人」、「この木なんの木気になる木」など、気を扱っている言葉ってたくさんありますよね。 こういったところからも、なんとなく感じて都合よく受け入れて今も使っているんだなぁって思います。

ちょっと余談ごとでした。



【血虚】
血虚は「血」そのものが不足しているのと、「血」がうまくその役割を果たせていないのも血虚です。
貧血の状態がイメージしやすい…で・す・が、ちょっと注意が必要です。
病院で「貧血」と言われた方は「血虚」と考えても概ね差し支えないですが、「血虚」の方が病院で検査をしても「貧血」と言われるとは限りません。
貧血はヘモグロビン濃度の低下で診断されますので、ヘモグロビン濃度が低いから役割を果たせていない→「貧血」で「血虚」
ヘモグロビン濃度は正常だけど血液量が少ないから役割を果たせていない→「貧血」じゃないけど「血虚」という感じだとイメージ湧いてきました??

もちろん!ヘモグロビン濃度は低いけど血液量はたっぷりある→「貧血」だけど「血虚」じゃないという場合も考えられますよね。「血液量が分かれば血虚は判断できるから、全部抜いてみよう!」は出来ないので、症状から推測していきましょうね。
「血」は身体を栄養してくれる役割があるので、めまい、唇や舌の血色が淡い、爪がもろい、髪の毛が細くて切れやすい、筋肉が攣りやすいなどが出てきます。
精神活動を支える役割もあるとされているので、不安、忘れっぽい、眠れないなども出てきます。女性の場合は生理が遅れやすい、出血の色が薄くて量が少ないなどもあります。



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