フォーミュラリってご存じでしょうか?地域フォーミュラリや院内フォーミュラリという言葉を聞いたことはありませんか?
今回は診療報酬改定でも話題になっているフォーミュラリについて解説したいと思います。
(フォーミュラリとフォーミュラリーの記述がありますが、今回の記事では2021年6月以降の中医協での記述に合わせて「フォーミュラリ」で統一しています)
診療報酬改定の議論の中で登場したフォーミュラリは財務省の経済諮問会議で取りあげられたことからもわかるように、その医療費削減効果が注目されています。ですがフォーミュラリは単純な目の前の医療費削減を期待したものではなく、治療を受ける患者側にとっての有効性や安全性を踏まえた長い目で見た時に経済効果が発揮されるものです。今後、薬剤師は様々な形でフォーミュラリと関わっていくことになります。そのためにもフォーミュラリがどのようなものか理解し、使いこなすため準備していくことが大切です。
1、フォーミュラリとは?
✔フォーミュラリは医薬品集ではなく処方集
✔有効性・安全性に加えて経済性を含めた使用指針
✔エビデンスやガイドライン等を参考にして推奨薬が選ばれる
フォーミュラリの定義
Formulary(フォーミュラリ)という単語は「公式的な」とか「決まり文句」のような意味を持つ単語で「処方集」と訳されます。American Journal of Health-System Pharmacyの中では「医師、薬剤師、およびその他の専門家による疾患の診断、予防、または治療と健康増進の臨床判断を示す継続的に更新される医薬品と関連情報のリスト」(Am J Health-Syst Pharm 2008;65:1272-83)と定義されています。つまり、フォーミュラリは採用医薬品集のような単純な医薬品リストではなく、有効性・安全性に加えて経済性も含めた医薬品の使用指針になります。
フォーミュラリについては、ここ数年間、財務省の経済諮問会議で取り上げられ、中医協でも議題に上がっており、経済財政運営と改革の基本方針 2021 では更なる後発医薬品の普及のためにフォーミュラリを活用すべきという提言が出されていますし、令和4年度改定に向けた中医協 総会の中ではフォーミュラリを診療報酬上の評価とすべきかどうかという議論も行われています。