このシリーズでは、初めて在宅の患者さんを担当する方や、日頃の在宅訪問に不安を感じている方へ、明日から役立つコツを実例をもとにお伝えしています!
(前回の記事はこちら→vol.1 マニュアルには載らない薬剤師の在宅初回訪問 “7つの手順”)
<index>
●はじめに
- 1. "配達から管理へ" とは
●ご自宅に上がるワケ
- 2. ご自宅には気づきのタネがたくさん
●ご自宅に上がるコツ
- 3. まずは不安を与えないために身だしなみから
- 4. スムーズに上がる2つの説明術
●ご自宅に上がるのが困難なケースの対処法
- 5. 薬局の介入に理解が得られない場合
- 6. それでも拒否・認知症等で難しい場合
●最後に
- ★ 大切なのは点ではなく線で診ること
●はじめに
1. "配達から管理へ" とは
vol.1の初回訪問の手順の1つとして"管理してくれる人"になるお話をお伝えしましたが、配達するだけなら、薬剤師がわざわざ訪問する必要はありません。きちんとお薬が服薬でき、ご自宅で過ごしていくためにサポートするのが私たちのお仕事です。
お薬を届けて服薬指導するだけでなく、お薬をどこに置いていてどうやって飲んでいるのか、実際にきちんと飲めているか確認するまでが服薬管理。
だから届ける人ではなく、" 管理してくれる人 " になることが大事なのです。
とはいえ、玄関先で「薬だけ置いていってくれれば良いから。」と中に入れてもらえない・・。なんてご経験はないでしょうか?
私も在宅を始めた時に、そのような状況によく陥っていました。玄関先で話をするだけでも服薬指導はできるし、問題視していませんでした。しかし、このようなケースで問題となることが多いのです。「薬が飲めていないので対応して欲しい」と他職種の方に依頼されても、どのように飲めていないのかを把握できていないため提案のしようがなかったのです・・。
●ご自宅に上がるワケ
2. ご自宅には気づきのタネがたくさん
ではなぜご自宅に上がる必要があるのでしょうか?これは第一関門ですが、とっても重要なポイントです。
「持ってきてもらえるだけでも、ありがたい」と感謝されることもありますが、大事なのはご自宅の生活を含めて薬を管理していくこと。訪問服薬では患者さんとの会話からだけでなく、正しく服薬できているのかや実際のご自宅での様子や食事、生活リズムを把握することができます。例えば、
「いつもの眠剤だと効かなくなってきた気がする。」
✔︎ 最近暑く、日中の散歩をやめていて活動量が減っているからかな?
✔︎ 買い物している様子もなさそう・・
「最近便がでない。」
✔︎ そういえば介護オムツが置いてあったな、トイレに行けなくなっているのかな?
✔︎ 利尿剤を追加したばかりで、トイレが近くなるから水分を控えているのかな?
ご自宅に上がらせてもらうことで、患者さんの日常の中から "いつもと違う" 変化に気づき、生活に合わせた薬の提案をすることができるのです。