
2026年8月17日付で新規後発医薬品(後発品)が承認されました。今回承認された後発品は、早ければ12月に薬価収載され、薬価収載された製品は3月まで(3ヶ月以内)に発売されます。最近では承認されても薬価収載されるとは限らないことが当たり前になりつつありますが、今回はどうなるのか?予想したいと思います。
また、12月の薬価収載から実質初めて導入される形になるのが薬価収載時のAG特例です。令和8年度薬価制度改革では、10月以降に薬価収載されるAG(Authorized Generic=オーソライズドジェネリック)もしくはバイオAGは先発品(バイオ先行品)と同じ薬価になるルールが新設されています。これが、今回の承認、12月の薬価収載にどんな影響を与えるのかも徹底解説!したいと思います。
2026年12月に薬価収載される可能性がある後発品には、リナグリプチン、グアンファシン、イストラデフィリン、シタグリプチンなど、注目の成分が複数あります。先発品にはない新剤形・新規格が承認されているものもあり、どの製品が実際に収載されるのか注目です。
今回もう一つ注目したいのが、令和8年度薬価制度改革で新設されたAG特例です。令和8年10月以降に薬価収載されるAGやバイオAGは、原則として先発品と同じ薬価になります。
ただし、12月収載予定品の中には、既収載AGの規格違い・類似剤形と考えられる製品もあります。この場合、AG特例の対象外となり、通常の後発品と同様に規格追加・剤形違いとしての薬価で収載される可能性があります。
今回は、12月収載予定の後発品を整理しながら、AG特例によって今後のAGの薬価収載がどう変わるのかを考えていきます。
1、令和8年度薬価制度改革で導入されたAG特例とは?
令和8年度薬価制度改革では、令和8年10月以降に薬価収載されるAG・バイオAGについて、原則先発品と同じ薬価にする特例が新設されました。その背景にはAGが持つ優位性により、医薬品開発における構造変換が進まないことや、適正な競争環境が構築されないことがあります。この「AG特例」により、今後、AGが薬価収載される機会は少なくなり、その結果、承認も少なくなると考えられます。
令和8年度薬価制度改革では、AGに関する薬価算定上のルールが追加されました。制度上の正式名称は「先発品と同一の後発品及び先発品と同一のバイオ後発品の特例」ですが、長いので今回の記事では「AG特例」と呼ぶことにします。
AG特例とは、簡単に言うと、令和8年10月以降に薬価収載されるAGの薬価を原則として先発品と同じ薬価にするというルールです。薬価算定の基準について(令和8年2月13日保発0213第3号)では以下のように記載されています。
3 先発品と同一の後発品及び先発品と同一のバイオ後発品の薬価算定
薬価算定の基準について(令和8年2月13日保発0213第3号)
イ 先発品と同一の後発品及び先発品と同一のバイオ後発品の特例
1及び2の規定に関わらず、先発品と同一の後発品及び先発品と同一のバイオ後発品(新規後発品として薬価収載された既収載品(1及び2の規定により薬価算定されたものに限る。)の中に、組成、剤形区分及び製造販売業者が当該新規後発品と同一の類似薬があるものを除く。)については、新薬として薬価収載された既収載品の中の当該新規後発品の最類似薬を比較薬として、類似薬効比較方式(Ⅰ)によって算定される額を当該新規後発品の薬価とする。
「先発品と同一の後発品」とは、「組成、剤形及び製法が新薬として薬価収載された既収載品と同一の後発品(令和8年10月以降に薬価収載されたものに限る。)」と定義されており、「令和8年10月以降に薬価収載されたAG」と読み替えることが可能です。同じく、「先発品と同一のバイオ後発品」は「令和8年10月以降に薬価収載されたバイオAG」になります。
文章が長いので簡略化するため、一部削除して整理します。「1及び2の規定」というのは通常の後発品(令和8年10月より前に薬価収載されたAGを含む)の薬価算定ルールを指すので、最初の「1及び2の規定に関わらず、」は削除。()の部分も複雑なので一旦削除します(後で解説します)。
また、「新薬として薬価収載された既収載品の中の当該新規後発品の最類似薬」とは対象となるAG(バイオAG)の先発品を指し、類似薬効比較方式(Ⅰ)は、最類似薬と1日薬価が同じように薬価を算定する方式です。用法・用量が同じなんですから、「1日薬価が同じ=薬価が同じ」ですね。これらを踏まえて、わかりやすく書き直すと・・・。
「令和8年10月以降に薬価収載されたAGとバイオAGについては、先発品と同一の薬価とする。」となります。
AG特例が導入された背景には、後発品市場の適切な競争環境を形成することがあります。先発品と同一でありつつ薬価は他の後発品と同様という競争上の優位性を持つAGが市場に参入すると、その後発品におけるシェアは一気にAGに傾きます。国の考える医薬品産業のライフサイクルには、先発品メーカーが新薬を開発することで研究開発費を回収し、特許切れ後は後発品に市場を譲り、新たな新薬の開発に投資していくという流れがあります。ですが、AGが存在することで、先発メーカーが特許切れ後も実質的に市場シェアを確保し、収益を維持してしまう形になり、国の考える構造と離れてしまうというものがあります。
実際に、他の後発品と同時にAGが収載された場合でも、もともと他の後発品が参入している市場にAGが参入した場合であっても、AGのシェアが高くなることが確認されてきています。現在、医薬品の供給不安が問題となっていますが、AGが参入することで、一気にシェアが奪われる状況の中、他の後発品を作るメーカーが安定供給を維持するのは非常に困難という指摘もあります。
このルールにより、令和8年10月以降、AGが薬価収載されることは極めて少なくなると予想されており、令和8年6月がAGが薬価収載されるラストチャンスと考えられました(後発品の薬価収載は6月と12月の年2回になっています)。そのため、令和8年8月17日付で承認された後発品(12月に薬価収載予定)にはAGは含まれないだろうと思っていたのですが、実際にどうだったかは次の項で解説します。
2、令和8年8月17日付で承認された後発医薬品と12月収載予定の後発医薬品
2026年8月17日付で、リナグリプチン、グアンファシン、イストラデフィリン、シタグリプチンなど、複数の後発品が承認されました。各社のホームページでは12月収載予定として案内されている製品もありますが、承認されたすべての後発品が薬価収載されるとは限らないため、今後の収載状況に注目です。
令和8年8月17日付で承認された後発品のうち、代表的なものを紹介、解説します。また、各社のホームページで公開されている12月の収載情報もまとめます。
リナグリプチン(トラゼンタのジェネリック)
トラゼンタ錠の後発品が承認されています。普通錠7銘柄の他に、先発品にはない新剤形OD錠が2銘柄(JG、トーワ)承認されています。また、「ダイト」は同じ銘柄品を4社(第一三共エスファ、共創未来ファーマ、Meファルマ、フェルゼンファーマ)が共同で発売する形になっています。
