
ついに令和8年度調剤報酬改定が施行されましたが、みなさん、スムーズに対応できているでしょうか?施設基準の届出はもちろん完了していると思いますが、改定後の点数の変更に戸惑うことがまだまだ多いと思います。直前の訂正や疑義解釈があったため、レセコンが対応できていないケースも珍しくない状況ですが、そのような状況であっても、積極的に算定を行うために、必要な要件は確実に押さえておきたいところです。
今回は、調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算について、重複投薬・相互作用等防止加算からの変更点、算定要件、疑義解釈、実務上のポイントを整理します。
令和8年度改定で新設された調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算は、いずれも薬剤師が患者情報を踏まえた処方変更を評価する加算です。調剤時残薬調整加算は、残薬の状況を確認し、処方医への照会または処方医の指示に基づいて調剤日数などを調整した場合に算定します。原則として7日分以上相当の変更が対象ですが、薬学的に必要と判断される場合には、6日分以下相当の変更でも算定できる場合があります。一方、薬学的有害事象等防止加算は、重複投薬、相互作用、副作用リスクなど、薬学的な問題を踏まえて処方医に確認し、処方変更が行われた場合に算定します。ただし、残薬調整に係るものは対象外です。
実務上は、まず「処方変更の理由」が残薬調整なのか、薬学的有害事象等の防止なのかを整理することが重要です。そのうえで、処方医に確認した内容、処方変更の結果、患者への説明、薬学的判断の根拠を薬歴に記録しておく必要があります。
1、重複投薬・相互作用等防止加算から何が変わった?
令和8年度改定では、従来の重複投薬・相互作用等防止加算と在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料が廃止され、残薬調整は「調剤時残薬調整加算」、重複投薬・相互作用などの薬学的リスクへの対応は「薬学的有害事象等防止加算」として整理されました。この変更により、薬剤師が行った業務の内容について、評価が整理されることになりました。
令和8年度調剤報酬改定では、重複投薬・相互作用等防止加算と在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料1・2(重複投薬・相互作用等防止加算等)が廃止され、調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算が新設されました。まずは、どのように整理されたのかを図で確認してみましょう。

このように、重複投薬・相互作用等防止加算等のうち、「ロ」の残薬調整に関する部分は調剤時残薬調整加算に、「イ」の重複投薬や相互作用等、残薬調整以外に関する部分は薬学的有害事象等防止加算に整理されました。さらに、それぞれ在宅患者への対応、かかりつけ薬剤師による対応、それ以外の対応などに区分され、在宅やかかりつけ薬剤師による対応が高く評価されています。
従来は、「在宅患者」と「それ以外」で点数が分かれていましたが、今回の改定により、薬剤師が介入する内容による整理がより明確になりました。残薬調整では、残薬の数量だけでなく、残薬の外形状態、保管状況、次回受診日等を踏まえて、残薬が生じた理由や患者が意図的に残薬を残している可能性などを検討する必要があります。一方、重複投薬や相互作用等への対応では、併用薬、副作用歴、検査値、年齢、腎機能、生活背景などを踏まえ、処方変更が必要かどうかを薬学的に判断する必要があります。
評価の枠組みが整理されたことで、薬剤師が何を問題と捉え、どのような処方変更につなげたのかが、より明確になったと言えます。
2、調剤時残薬調整加算の算定要件
調剤時残薬調整加算は、残薬がある患者について、処方医への照会または処方医の指示に基づき、調剤日数などを調整した場合に算定する加算です。原則として7日分以上相当の変更が必要ですが、6日分以下相当の変更でも、薬学的に必要と判断される場合等には算定できることがあります。ただし、単に残薬があるだけ、処方医が同意しただけでは不十分で、残薬調整の必要性を説明できることが重要です。
調剤時残薬調整加算は、薬剤服用歴等や患者・家族等から収集した情報に基づき、残薬の外形状態、保管状況などを確認したうえで、処方医への照会または処方医の指示により、調剤日数などが変更された場合に算定する加算です。
原則として、算定には7日分以上相当の調剤日数の変更が必要です。ただし、薬剤師が患者の服薬状況等から必要性があると判断し、処方医への照会結果または処方医の指示に基づいて6日分以下相当の変更を行う場合には、算定できることがあります。この場合は、残薬が7日分を超えないにもかかわらず調整する必要性をレセプトに記載し、次回受診日等を確認したうえで、患者や家族に説明し、その概要を薬歴に記録する必要があります。一方で、残薬が7日分を超えるまで待つことが合理的な場合や、処方医が同意していることだけを理由に6日分以下相当の変更を行う場合は算定できません。
「7日分以上相当」の定義ですが、内服薬など日数単位で処方される薬剤では、調剤日数を7日分以上減じた場合が該当します。隔日投与等の指示により患者が服用しない日がある医薬品の場合は、実際に服薬する日数で考えます。屯服薬では7回分以上、外用薬では1回使用量に照らして7回分以上の使用量を減らした場合が「7日分以上相当」とされます。
減数調剤
また、今回の改定に伴い、処方箋様式が変更され、備考欄に「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供」欄が追加されました。この欄にチェックがある場合、薬局では残薬の状況を確認したうえで、用法・用量は変更せずに、必要に応じて投与日数や数量を減らして調剤することができます。これを「減数調剤」と呼びます。
