薬剤師こだわり図鑑

お薬手帳の活用にこだわり vol.2

連携に大切なのは、飛び込んでいく少しの勇気

東京都 株式会社田無薬品 藤田珠理先生

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藤田先生は大学卒業後、地域でいち早く在宅医療に取り組んでいた株式会社 田無薬品に入社。先輩たちの姿を見て、入社4年目の2002年、現店舗のホームケアファーマシー田無店に異動したタイミングで在宅訪問業務を志願した。現在は2名の薬剤師と約100名の在宅患者(居宅)に対応。また、西東京市薬剤師会理事として地域包括ケアシステムの構築に参画している。

失敗を通して、在宅医療における薬剤師の役割を再認識

私が在宅訪問を始めた頃は介護保険が始まる前だったので、ケアマネージャーさんはおらず、医師の指示により薬剤師が単独で訪問をしている形でした。当時、失敗を通して学んだことがあります。ある老老介護世帯の患者さん宅にお薬を届けに行った際、不在のようだったのでポストにお薬を入れて帰ってしまったのです。2日後、患者さんから連絡を受けた医師から電話があり「なぜ、もしかしたら患者さんに何かあったのではないかと考えなかったのだ」とお叱りを受けました。その時、私は「緊急性」という意識が欠けていたことに気づかされたのです。お薬を届けるだけでなく安否確認も含めての在宅訪問なのだと。それまでは医師に遠慮してしまい病状や処方に関する事のみを報告していたのですが、そこからは気になることがあれば連絡をしてもよいことがわかり、医師と良い関係が築けるようになりました。

「患者さんのために」という熱意は職種の壁を越える

産休の期間を通して多職種との連携を考えるようになったのですが、多職種との間に壁を感じてファーストコンタクトをなかなか踏み出せずにいました。その時弊社の代表から「なんでもいいから『教えてください!』と顔を出しに行きなさい」とアドバイスを受け、身近にあった訪問看護ステーションへ飛び込みました。何回か尋ねるうちに看護師さんだけでなく他の職種の方からも「薬のことで聞きたいことがあるのだけど」と声をかけていただけるようになりました。このように一つ深い所ができると他のステーションにも足を運びやすくなります。病院の医師の場合も同じ。新規の時はアポをとり受診同行をしています。はじめは医師から相手にしていただけないこともありますが、2、3回諦めずに同行すると医師も徐々に心を開いてくださり、逆に薬のことを相談されるようになりました。以降は電話だけでもスムーズに連携が取れるようになっています。

市内にある基幹病院の薬剤師と薬局薬剤師が情報交換

これまでは病院と薬局の薬剤師間で情報の連携が取れなかったので、患者さんが入退院する際、医師の指示書や看護サマリーはあっても、お薬の情報は抜け落ちてしまいがちになっていました。 地域包括ケアを構築するには、薬薬連携の環境を整えることが必要だと考え、市内6箇所の基幹病院と薬局が連携することを目的に、西東京市薬剤師会の中に「在宅療養推進協議会」を設置しました。私が委員長を務めているのですが、まず全ての基幹病院の薬剤部に伺って説明し、代表者を1名ずつ出していただきました。そして月1回、病院薬剤師と薬局薬剤師の情報交換の場を設けています。現在では入院中にどのような注射を打ったか、減薬など処方変更があった際の理由などを病院薬剤部に記載していただけるようになり、薬局側は退院後の薬が正しいか判断できるようになりました。大変良い関係が築けています。今までは多職種への働きかけを行ってきましたが、ここ2年は薬局同士のつながりを盛り上げていくことに注力しています。どのように連携していくか今後の課題ではありますが、横の連携ができなければ地域包括ケアシステムの位置付けは難しいのが現状です。市内には100店舗の薬局がありますが、ある医師の方に「2割の仲間ができればその先は進んでいく」と助言をいただいたので、まずはそこを目指したいと思います。サポートし合いながら皆で地域を支えていきたいと思っています。

お薬手帳の連携ツールを考案

西東京市薬剤師会では薬薬連携の方法として「お薬手帳の連携ツール」を作成しました。お薬手帳と同サイズにし、輪ゴムで挟みこめる形にしています。複数医療機関にかかっている患者さんは未だ1冊ずつお持ちの方も多いため、主治医と連携医を3カ所、その他、患者さんを支えている全ての職種を記載できるように工夫しています。患者さんには「お薬手帳は1冊でいいのです。これは、ただシールを貼るものではなく『健康の交換日記』なんですよ」と説明しています。実は、救急隊員やソーシャルケースワーカーさんなどお薬手帳は様々な職種の方が見ているものなので、認知機能が低下している患者さんの場合でも連携先に情報を伝えることができるというメリットもあります。

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