薬剤師こだわり図鑑

在宅医療にこだわり vol.1

患者1人ひとりの状況にしっかりと寄り添う

メディスンショップ蘇我薬局 雜賀匡史先生

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雜賀匡史先生は、千葉県千葉市のメディスンショップ蘇我薬局にて、認知症患者などの在宅療養を支援している管理薬剤師。「積極的に患者さんと向き合い、治療とケアを両立する」ことにこだわり、1人ひとりに合った医療を追求している。

患者に合ったケアを行うため、一から勉強を重ねる

私のこだわりは、患者さん1人ひとりのことを考えて、勉強を重ねることです。例えば、在宅患者の処方せん応需が多い現在の薬局では、認知症の人の処方を多数扱っています。認知症の人に興奮状態などのBPSD症状が現れると、安定剤を処方するなど、無理やり症状を抑える治療が少なくありません。しかし、その方法によって患者さんを必要以上に鎮静させ、本来の人格を失ってしまう場面をたくさん見てきました。そこで、一から認知症のことを学ぶために、様々な本を読むようになりました。すると、ある本の中で『ケアが行き届けば、薬で押さえつけなくても、症状が改善する』ということを知ったんです。薬物療法についての知識を身に付けるだけでは、認知症の方と本当に向き合えないことを実感しました。そこで、介護職やご家族に対し、ケアについてのアドバイスが出来るようになりたいという想いから、認知症ケア専門士の資格を取得することにしました。

介護職の資格も取得し、横断的な医療提案を実施する

また、在宅の現場ではケアマネジャーと会話することが多いのですが、その際、介護保険サービスや社会資源の話など介護に関する話題を表面的にしかできないことに課題を感じていました。もし自分にケアマネジャーの知識があれば、介護制度のことはもちろん、薬剤師とケアマネジャーの領域を横断するような医療提案もできるようになる。そこで、患者さん1人ひとりの生活に寄り添うためにも、ケアマネジャーの資格も取得することになりました。現在は、生活環境に合った医療の提供、リハビリや栄養面なども踏まえたケアプランを提案出来るようになり、患者さんの自立支援を目指して、生活を楽しむための医療・介護を両立したアプローチを積極的に行っています。

介護認定審査会における学びを、現場での提案に活かす

現在は介護認定審査会にも参加させていただき、地域支援にも力を入れています。この会議に出席することで、『具体的な介護度の目安や、医療と介護の現状を知りたい』という日頃抱えていた想いを、審査会で知り合った先生方や、多くの事例から学ぶことができ、非常に勉強になっています。実際、患者さんに対して、『5m歩行が出来ないのであれば、要支援ではなく要介護認定を取得できる』『寝たきりの状態であれば、区分変更で要介護5に変更し利用出来る医療・介護サービスを増やす』といった具体的な提案もできるようになりました。私が考える薬剤師の理想像は、『患者さんの生活スタイルを崩さない医療を提供できる』存在。患者さんは病気の治療や服薬をするために日々の生活を過ごしているのではなく、あくまで生活を充実するためのオプションとして治療や服薬などの医療が存在しています。生活のメインが医療になってしまうのは、決して良い状態ではないと思っています。その理想により近づくためにも、今後も医療や介護の知識を幅広くつけて患者さんやご家族に還元し、自分を高めていきながら一人ひとりに寄り添っていきたいと思っています。

私の勉強法

最新情報は論文から
難病や最先端医療の関連書籍は、年に数回のペースでしか出版されないため、入手時にはすでに情報が古いことが多いです。その場合は、ネットで調べて論文から情報を入手します。例えば、難病の神経線維腫症2型という疾患があります。知り合いから相談を受けた時は疾患名すら初耳でした。勉強を始めたものの、神経線維腫症2型は日本に3500人程度しかいない疾患で、情報入手が非常に困難です。関連書籍はほぼゼロに等しかったので、海外論文を中心に読み漁り、気づけば読んだ論文は計200本を超えていました。

情報集めと勉強分野は偏らない
今勤めている薬局は認知症の方の処方せんが多いため、認知症の勉強に割く時間がどうしても多くなってしまうのですが、様々な患者さんに対応できるように、認知症だけでなく、偏らない情報集めを志しています。例えば「輸液・静脈栄養の管理の実際とコツ」の本は日常的な注射管理方法だけでなく、感染予防や栄養まで幅広く学ぶことが出来ます。情報を提供することで誰かが喜んでくれたり、安心してくれたり、希望を持ってくれたり、こういった形の支援方法も薬剤師にはあると思っています。

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