【開催研修レポート】
薬局、薬局薬剤師の専門性深化について考える
求められる薬剤師の専門性の向上と
求められる専門医療機関連携薬局の進化とは

 2019年に改正医薬品医療機器等法(薬機法)により誕生した認定薬局制度の片翼である「専門医療機関連携薬局」は、今までにない疾病別の認定制度です。薬局と医療機関との連携を標榜するこの制度には、どのような願いが込められているのでしょうか。

 今回は、元薬剤管理官の紀平哲也氏と、薬剤師の専門性について日々研究と実証を重ねる総合メディカルの下川友香理氏に、 今後の薬剤師に期待される進化と専門性の深化についてお話頂きました。

 薬局経営やマネジメントに関わる皆様に今一度、薬局が進化する意義と専門性の深化について考える機会として頂きたいと思います。

1.総合メディカル株式会社学術情報部 下川友香理

がん担当チーム結成の歩み

 今年(2022年)3月まで、福岡県福岡市にある「そうごう薬局天神中央店」に勤務していました。薬剤師は11名が在籍しており、そのうちがん担当チームは7名、その中に外来がん治療専門薬剤師が2名、外来がん治療認定薬剤師が1名います。

 私が在籍した12年の歩みをまとめたのが図①です。2010年ごろは抗がん剤治療が外来に移行していく時期です。薬局薬剤師としてもがん患者さんをフォローしないといけないと考え、2010年にがんチームを結成しました。結成の目的は「患者にとって最適な治療の効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えることで治療の継続を支援すること」です。このがんチームから外来がん治療認定薬剤師が6名誕生しています。

※図① 12年の歩み

専門医療機関連携薬局としての活動

 専門医療機関連携薬局の要件は16項目あります(図②)。この中で難しいと感じたのが赤字の部分です。たとえば地域の薬局への報告・連絡では、お薬手帳で患者さんの情報を伝え、副作用や併用薬による症状などもメモや電話で伝えるようにしていました。

 専門性のある薬剤師を配置することは必須条件でハードルは高いのですが、当薬局では外来がん治療認定薬剤師が6名誕生し、配置については要件を満たしていました。配置しただけでは専門性を発揮できないと考え、毎週木曜日にがん症例検討会を開催し、症例の紹介や治療の妨げ事項の確認などを行いました。

 また、天神中央店の取り組みを社内に展開していくために、2021年からオンラインで「外来がん治療専門薬剤師育成プログラム」を開講しています。さらに、専門性を有する薬剤師の育成は社外にも広めています。これらの活動を踏まえ、専門医療機関連携薬局としての貢献度評価も調査を実施。疑義照会やトレーシングレポートの提案採択率、転帰改善・維持による経済的効果が得られています。(図③)。

※図② 要件の16項目
※図③

保険薬局薬剤師ができること、専門性の意味

 多くの急変には前兆があります(図④)。赤い線は体の状態の変化、黄色で囲んだ部分は危険な状態を示しています。その前の、青い四角で囲んだ段階で気づき、予防のための支援をすることが、保険薬局薬剤師の重要な役目となります。そのためには電話等で継続的なフォローアップができる、かかりつけ薬剤師であることが強みになります。

 電話等による患者フォローアップのメリットとして、患者さんの副作用に早く気づき悪化を防止することができる、内服薬の減量・中止基準である場合に速やかに対応できる、患者さんの不安解消になる、必要時の受診勧奨を行うことができるなどがあり、当薬局では、すべての薬剤師が対応できるように、電話フォローアップ時のフローチャートを作成しています(図⑤)。

 副作用を判断できる能力が、薬局薬剤師にも求められています。副作用の段階や確認事項を把握し、ほかの疾患との鑑別をして、病院に連絡すべきかどうかを判断できる能力が、薬局薬剤師にとって必要な専門性だと思っています。

 今後、私たち専門医療機関連携薬局は患者さんのために何をしたかを視点に、薬局薬剤師の価値が示されたデータやエビデンスを現場から発信することが必要だと考えます。

※図④
※図⑤

下川先生のハンドアウトをご希望の方は、下記連絡先までメールでお問い合わせください。


総合メディカル株式会社
執行役員 学術情報部長

下川 友香理 氏
【メールアドレス】yukari.shimokawa@sogo-medical.co.jp

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